その答えをこんなに早く知りたくはなかった。
訃報です。 - moonriders division
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ムーンライダーズのかしぶち哲郎さんがご逝去。ライダーズの活動停止前から体調が思わしくないという情報はちらほら入っていた。ライブでサポートメンバーが入った時もあったらしい。
ライブに行ったのはもう20年も前で、正式なライダーズのライブではなくユニットの合同ライブ。とは言え一応最後は6人が揃っていた、はずだ。今はない新宿パワーステーションで、19歳の冬、私はただ興奮していた。その時出演していたアートポートのCDを会場で買ったのか後に買ったのかさえも記憶の彼方だ。
高校生の頃、好きだったバンドのメンバーが出したソロアルバムのプロデューサーとしてムーンライダーズがいた。そこから田舎のどんくさい高校生はレンタル店にあるだけのムーンライダーズの音源を借りた。レンタル店にない音源が図書館にあった時は狂喜した。田舎から田舎に進学し、通販事情もままならない時勢に上京しては少しずつ音源も買い揃えた。
若かりし頃の私にとってムーンライダーズは都会の大人のバンドだった。田舎のガキには遠い遠い憧れだった。遥かな影を捉えながら強く抱いた思いは私のパーツのどこかしらに潜んでいて、熱が退いたと思ったらどこからかひょこっと顔を出してみたり、一節口ずさんですぐ隠れたりしてきた。
『どうしたの いや なんでもないさ』
なんでもないさ、とは言えなかった。それでも涙が流れることはなく。
みんな、今外へ出れば涙は氷になるよ(社主)
— メトロトロン・レコード/鈴木博文 (@metrotron_com) 2013, 12月 20
博文さんがこうつぶやいていらしたけど、きっと外に出る前に私の涙は凍ってしまったのだ。流れ出ずに固まってしまったのだ。今この文章をタイプしながら少し氷の端っこが溶けかかっているけれど、寒い冬の夜のことだ、きっとすぐに凍ってしまうだろう。泣くのはもっと後でいい。今はまだ混乱しながら自分に酔った文など書き散らして、心の中で薔薇の花を捧げて、改めて瞑目しよう。
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