【こまけぇこたぁ】イン・ザ・ヒーロー【いいんだよ】
スレッド立てるとしたらスレタイはこんな感じかなーと思います。実際そこらへんをいちいちツッコミたい人は緻密で重厚な描写の映画が他にあるだろうからそっち見たらいいんでないのというか、重箱の隅つつき隊に所属してるタイプの方は見ない方がいい映画だと思います。良くも悪くも漫画的。
あと話の筋道は予告映像見てたら大体わかる程度なのでそれ以上の期待はしちゃいけません。
じゃあ何を見るんだよ、って、唐沢寿明のスタントマンっぷりに決まってんじゃないですか。
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ブルース・リーに憧れて業界に入って幾星霜、ヒーローの「中の人」に誇りを持っているけどいつかは顔出しで出たいと夢を持つ中年スーツアクターの本城渉。下落合ヒーローアクションクラブ(HAC)でリーダーと呼ばれ慕われ、戦隊レッドの中の人としてスーツを着る彼は薬剤師の元妻(和久井映見)や一人娘(杉咲花・クックドゥのCMでぐっさんの娘役やってる子)と別れて古いアパートでひとり暮らし。部屋にはブルース・リーのポスターはもちろん、今までに出演したヒーロー番組の写真、本棚にはアクションについての本から五輪書までずらり。そんな彼がやっと劇場版の顔出しゲストキャラで出られると思ったらその役は舐めた態度の新人アイドルに土壇場で取られてしまい……
その新人アイドル俳優一ノ瀬リョウを演じるのが福士蒼汰。お前フォーゼじゃん!と突っ込んではいけないお約束。
まーこれが本当に最初のうちは顔合わせの席でガム噛んでるし挨拶も座ったまま首だけ前に出して「ちゃっす」だし、そりゃ後でHACの面々と顔合わせた時にブルーの中の人・美咲さん(黒谷友香)に「ちゃっす(物まね)やて。鳩か」と言われメンチ切られてつかみかかられるのも仕方がないようなクソガキっぷり。同時並行でハリウッド映画のオーディションを受けてるせいで気持ちはそっちばっかり向いて戦隊の現場については「たかがジャリ番」としか考えてないのが丸わかり。
彼がストーリー中で改心していくあたりはお約束なのでとりあえず略。Twitterあたりで「新人が飼いならされて社畜になっていく話」とかなんとか紋切り型の喩えでうまいこと言ったつもりになるやつが出るんじゃないか、と勘繰れる程度にはベタでお約束(実際に言ってるやつを見たわけではありません為念)。
いけ生意気なガキが実は突っ張ってるだけで自分なりに夢を追いかけてるし実は心優しいやつってエサはそこそこわかりやすく撒いてあるなあと。いつもガム噛んでるのはハリウッドスターが愛用してる白い歯を作るためだし自宅で腕立て伏せしながらスピードラーニング的な英語の音源をiPodに入れて聞いてるし、美咲ねえやんにがっついてるとからかわれながらもロケ弁を3つ持って帰るのは歳の離れた幼い弟妹のため。
この弟妹が母親に映画館で捨てられて云々の部分は手紙の内容がいまいちよく見えなかったのでリョウの家庭環境は想像にすぎないのですが、何らかの事情で母と離れて暮らすリョウ(離婚して父親方に付いたとか? その割に父親の影が見えないので父とは死別の可能性? それとも裕福な父親が母子4人を捨てたけど金銭援助だけはしているから残された3人兄妹が家賃高そうなマンションに住めてるとか?)、それなりの頻度で母親や弟妹とは会っていたけど突然警察から連絡、母親からの手紙には「再婚するのでアメリカに行きます、相手が子供はいらないというので後は頼んだ」と書いてあった、とかなのかなあ。それにしてはそこそこ短期間で弟妹を捨てた母を恨んでないと言えるのもどうなんだろうって感じなのでそこはDVD出たら手紙の文面をチェックしてみたいところ。
ここで一旦他の人へ目を向けてみると、ピンクの中の人・吾郎さん(寺島進)。寺島さんもスタント経験があるっていうのを今回初めて知ってちょうびっくり。実際に女形でスーツ着てたこともあったとか。
参考:【寺島進の「月刊 てらじま便り」】第15回:ついに公開!『イン・ザ・ヒーロー』の巻 - シネマトゥデイ
この記事にある
俺のスタントをやってくれた方は、もうずっとピンクを演じてきたベテランの方でね。今も現役でやられていて50代後半の方なんだけど、すっごく上手なののベテランの方は多分蜂須賀祐一さんか、と思ったけど年齢がちょっと合わないな。でも女形スーツアクターと聞いてすぐに思い出すのは蜂須賀さんなんだよなあ。詳細はWikipediaで。女性より女性っぽい云々のあたり軒並み要出典になってるけど、ゲキレンジャーでメレ役だった平田裕香さんのブログで蜂須賀さんに女性っぽく見える動きを教えてもらったって記述読んだことがあるんだよなあ。平田さんが事務所やめてブログも消えたので出典明示できないのが残念。
(後日パンフ買って確認したら蜂須賀祐一さんではなく双子の弟さんである蜂須賀昭二さんでした)
閑話休題。中盤に吾郎さんの結婚式があるんだけど、新婦が前半ちらりと登場してきた美術スタッフさんだとか(ちなみにそのシーンで彼女のために食って掛かった美術のドンがMCコミヤこと小宮孝泰)、ヒーローの中の人らしい余興に仕組んだギミックはちょっとホロリとくるポイントかも。二次会終わってぐでんぐでんの吾郎さんを新婦がおぶって帰るところまで含めて。
グリーンの中の人・森田(日向丈)は最初トレーニング大好きのうざい筋肉マンだと思ってたけど、一ノ瀬宅でリーダーが部屋のドアを閉めるシーン直前の彼の表情と直後のシーンを考えるとむやみに明るい普段の振る舞いは一種の虚勢でもあったのかなあ。26歳からHACにいるという台詞で期間は明言されてないけど、5~10年はスーツアクターやってて、一向に目が出ない自分への焦りと夢だけを信じ続けられる強さがないと気づいた末の決断は凡人としては身につまされるし、その後のとあるシーンがベタだとわかっててもきゅんと来てしまうわけですよ。
ボーナック星人の中の人・真鍋(草野イニ)は最初リョウに媚を売ってるなあと思ってたんですが彼もまたHACの一員としてスーツアクターに誇りを持ち特撮を愛してて、ヒーローショーでは声を当てる担当。リーダーがブルース・リー語録やら武士道精神やらを口にすると酔っ払ってても背筋をぴんと伸ばす。でもリョウの写メやサインで女の子釣ろうとして失敗してるシーンは「ですよねーww」って思ってしまう愛すべきバカ。
ヨハンともう一人(役名失念。森田が去った後でグリーンを着る人。パンフでもお名前確認できませんでした)は雑魚敵のスーツ着たり怪人のスーツ着たり。実際スーツアクターで外人さんっているのかな。彼ら二人ともリーダーに心酔してる。ヨハンのサムライナイズされた日本語に漂うベタさ加減もそれはそれで。
りんこさんじゅうはっさいこと元妻・凛子(和久井映見)。凛の字が38歳の出生当時は人名漢字じゃなかったとかそういうこまけえことは略。私より年上なのに四十路前の役でうんうんそのくらい、と思える程度の綺麗さがとか思ったら負け。思わなくても勝負以前に負け。長回しの後でぶっ倒れて池に落ちたリーダーを余所行きの服なのにざぶざぶ池に入って抱くシーンはキスもエロもないけど良いラブシーンだと思いました。
前情報でミッチーこと及川光博ことミッチーが出てくるのは知ってましたがそこに出るかー、という。
加藤雅也扮するハリウッド映画の日本ロケプロデューサー石橋がわかりやすいギョーカイ人過ぎていかにも。戦隊組撮影現場に来て「たかがジャリ番」発言を堂々としちゃってHACだけじゃなくスタッフ一同から殺気放たれてるところは「ざまあwwwww」って草生えるよね。芝刈り機要るくらい草生えるよね。
でもリーダーを知ってて「まだ現役だったのか」って言うってことは以前に特撮絡みで関わりがあったのかどうなのかの描写がもう少し欲しかったような。監督あたりから「お前久しぶりに来たと思ったらお偉くなったもんだなあええコラ」的な。蛇足かしら。
松方弘樹が序盤から本人役。終盤「たまには斬られてみたくなってな」からの忍者引き連れての移動やリーダーのホワイトニンジャとの殺陣のシーンはやっぱり時代劇スターならではだよなあと。登場シーンが短くてもスターを演じられるのはスターなんだよな。
Yahoo映画のユーザーレビューで時々この映画と比較される「太秦ライムライト」にも出てらしたらしく、そちらだと似て非なるシーンがあるようなのでそちらも見てみたいところ。
さて、うだうだ書いてきましたが前に書いた通り見どころは唐沢寿明のアクションですよ。五十路越えての素面アクションは本当にすごいなあと。そりゃスーツアクターやってた頃からはブランクありますよ(同い年の寺島さんもまたしかり)。でも素面でアクションするシーンであそこまで足が上がってあそこまで動いて、ってのを見るとやっぱ引き込まれますよ。本条渉と唐沢寿明をイコールでくくってもいいと記述するレビューもありましたがやっぱり唐沢さん無くしてこの映画はなかったんじゃないかなーという意味で首肯するものであります。
さて、この話のある意味『全ての元凶』であるハリウッド映画監督のスタンリー・チャン(イ・ジュニク)。こいつさえCGなしワイヤーなし長回し取るでーとか言いださなければ良かったんですよ。その代わりに見せ場が全くなくなるのでそれはそれとして。
スタンリーがラストもラストでインタビューに答えるていで「映画は監督のものだ」って言うシーンがあって、あれだけリーダーが「アクションはチームプレーだ」って言ってんのになんでそこに冷や水ぶっかける台詞を言わせるかね、と思ったし、演じるイ・ジュニク(韓国の映画監督だそう)や制作陣にかの国の人がいるのを辟易するようなレビューも見かけたんですが、好意的に見れば途中でホワイトニンジャ役だった俳優が降板してリーダーにオファーが出るまでのプロデューサー達の「日本のシーンを全部削って中国にしよう」とか「韓国で撮ろう、高速道路も使えるぞ」とか映画に対する愛のない見方に対してノーを突きつけたかったんだろうなあ。本当に全面的好意で見れば、ですが。予算や無理のない進行も大事なのはさすがに四十路越えた大人なのでわかってますしおすし。
往時の黒澤明並みのこだわりと無茶ぶりを出したいんだったら日本人監督でよかったんじゃないのと思わなくもないし上記の愛のない物言いをするのがアジア人ではないあたりにいろいろ含みがあるのかもとも思ったんですが、最初に書いた通り重箱の隅をつつく見方するなら最初から見るなっつーアレなのでまあそのゴニョゴニョ。
そんなわけで結論としてしつこいですがもう一度。
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/ i f ,.r='"-‐'つ____こまけぇこたぁいいんだよ!!
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